グレースタイル 【ちょっと昔のチャンピオン作品を振り返る・第二回】サイカチ 真夏の昆虫格闘記 全1巻 原作:藤見泰高 漫画:カミムラ晋作 
m9パール
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我が道という名の獣道を突き進むチャンピオンでも時流に乗ることはある。
萌えが流行り始めそうならでじこを巻末コーナーに採用し、エイケンやしゅーまっはを載せたり。
カードゲームが流行っているのならカオシックルーンを載せた。タイアップ企画があればアイアンジョーカーズを載せたりもした、あれは立ち消えたけど。

出来上がったものの内容はさておき、時流に乗っかるというのは大事である。
そんな世間に敏感なチャンピオンがムシキングブームに乗っかって始めたであろう今作がサイカチである。

とはいえ、ムシキングとは違いサイカチの戦闘は昆虫の特性を利用した現実的なリアル路線。
リアルといっても少年漫画的表現はちゃんとあるから、地味じゃない。

主人公の小笠原真夏は、賭け相撲で取られてしまったクワガタを取り返すために新たなクワガタを探すため、山に入る。
そこで出会った虫好き女子高生・榎稲穂に導かれ、真夏は本当の昆虫相撲の魅力に取り憑かれていく……!!!

出会い、戦い、別れ……少年漫画に必要なものを昆虫相撲という一見地味な題材にググっと詰め込んだ秀作。
この手の漫画はウンチクを詰め込みすぎると、知識を披露したいだけなのか! とも思われがちだけど、今作はその手の知識がバトルや日常シーンのあれこれにそっと添えてあり、非常に読みやすい。

また、昆虫を飼育することへの責任の取り方もしっかりと描写されている。
この昆虫が傷ついたから新しいの使えばいいや、ブリードがダメだったら野に放とう……。
昆虫は動物と違い、どうしてもそういった意識が弱まりがちなのだろうけど、そういった意識をすっぱりと否定し、昆虫も人間も平等に扱っている誠実な作品。

しかし、石橋を叩いて割って建築業者に建て直させる秋田書店の経営戦略により、今作サイカチは二巻という日の目を見ることなく終了。

だが、サイカチメインキャラの一人である榎稲穂をメインに据えたスピンオフ作品「ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記」が月刊チャンピオンREDで連載開始。
昆虫相撲という点からは離れ、害虫と呼ばれる昆虫たちと人はどう接するかを描いている。

テーマは変わったものの「昆虫人間皆平等」であるスタンスは変わらずで、社会問題と害虫問題を絡めて一話完結方式で良く話が作られている。
虫に対する見方が確実に変わるであろう作品、虫嫌いの人にこそ読んで欲しい。
そんなベクターも今月のチャンピオンREDで最終回。月刊連載で単行本10巻まで続く、という成功を収めた。
最終回も、稲穂の人間的成長というもう一つのテーマをしっかりと描ききった素晴らしいラストだった。

作者コンビの新連載もほとんど間を空けず始まるようで、まだまだこのコンビから目が離せない。

※ベクター・ケースファイルのヒットを受けてチャンピオンREDは闘虫大会編を収録した付録本を発行。サイカチの紙媒体は現状、単行本1巻とその付録本のみ。
※最近になって、WEBコミックで週刊チャンピオン連載分が復刊。

サイカチ 白衣の少女と秘蜜のクワガタ

オタク的には紙媒体で欲しいのが本音。手に持ってページをめくる感覚を味わいたい。
サイカチの復活はまだ遠い。

前回の企画はこちら
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